旅の計画が心に残る文章に変わる!目的とテーマの見つけ方・書き方
旅の計画を立てる時、あなたはどんなことを考えていますか?
「どこに行こうかな」「何を食べようかな」「どんな景色を見たいかな」
そんなワクワクする気持ちを文章にしたいと思っても、「いざ書き始めると、ただのスケジュール報告みたいになってしまう」「何が言いたかったのか分からなくなる」と悩むことはありませんか。
実は、その「旅の計画」の中に、心に残る文章のヒントが隠されています。旅の目的やテーマを意識することで、あなたの旅行記やブログ記事は、一貫性があり、読者の心に響くものへと変わっていくでしょう。
この記事では、旅の目的やテーマをどのように見つけ、そしてそれを文章にどう活かすか、具体的な方法をご紹介します。読み終える頃には、次の旅の計画が、そのまま素敵な文章の「種」になるイメージを持てるはずです。
旅の「目的」とは何か? なぜそれが文章に大切なのか
まず、「旅の目的」と聞くと、「有名な観光地に行くこと」「美味しいものを食べること」といった具体的な目標を思い浮かべるかもしれません。もちろんそれも大切な目的の一部です。
ここで言う「目的」とは、もう少し広く捉えてみましょう。
- なぜ、その場所に行こうと思ったのか? (例:ずっと憧れていた、友人に勧められた、テレビで見て興味を持った)
- 旅を通して何を得たい、感じたいと思ったのか? (例:リフレッシュしたい、新しい文化に触れたい、自分を見つめ直したい)
- 旅の出発点にある、あなたの興味・関心は何か? (例:建築が好き、歴史が好き、ローカルな人々と交流したい)
旅の目的は、必ずしも壮大なものである必要はありません。「ただなんとなく」でも大丈夫です。大切なのは、その「なんとなく」の奥にある、あなたの小さな興味や衝動に気づくことです。
では、なぜこの目的が文章に大切なのでしょうか?
それは、文章に「軸」を与えてくれるからです。
目的がない文章は、羅列された情報のようになりがちです。行った場所、食べたもの、見た景色…それらを順番に書いただけでは、読者には「へえ、そうなんだ」で終わってしまうかもしれません。
しかし、旅の目的に沿ってエピソードを選ぶと、文章に一貫性が生まれます。例えば「美味しいコーヒーを探す旅」であれば、訪れたカフェの様子、マスターとの会話、コーヒーの味や香りの描写に焦点を当てて書くことで、読者はあなたの旅を追体験しやすくなります。
旅の「テーマ」を見つける・気づく方法
目的が旅の「出発点」や「理由」だとすれば、「テーマ」は旅に「意味合い」や「物語性」を与えるものです。旅の途中で見つけたり、後から振り返って気づいたりすることもあります。
例えば、
- 「地元の人が愛するB級グルメを探す旅」
- 「古い町並みに残る歴史の痕跡を辿る旅」
- 「自然の中で五感を解放する旅」
- 「初めての一人旅で見つけた自分」
このように、旅のテーマを設定すると、文章の焦点を絞りやすくなります。すべての出来事を書く必要はなくなり、テーマに沿ったエピソードを中心に構成することで、読者にとってより分かりやすく、心に響く物語になります。
テーマを見つけるヒントは、旅の計画段階だけでなく、旅の途中や旅を終えた後にもあります。
- 計画段階: なぜその場所を選んだのか? 特に惹かれるものは何か? そこから連想されるキーワードは?
- 旅の途中: 予期せぬ出来事や出会い、強く印象に残ったこと、何度も目にしたり耳にしたりしたもの、計画通りにいかなかったこと、感じた違和感。これらはテーマの種になる可能性があります。旅のメモに「〇〇が気になる」「△△についてもっと知りたい」など、心に留まったことを書き出してみましょう。
- 旅の後: 旅を振り返って、一番心に残っていることは? 旅をする前と後で、自分の中で変わったことは? 旅を通して学んだこと、気づいたことは? 写真を見返しながら、特に「なぜこれを撮ったんだろう?」と感じるものに注目してみましょう。
目的・テーマを文章にどう活かすか【実践編】
旅の目的やテーマが見つかったら、いよいよ文章に落とし込んでいきましょう。具体的な活かし方はいくつかあります。
1. 導入で目的・テーマを提示する
記事の冒頭で、「今回の旅は〇〇を目的としています」「この旅のテーマは△△でした」と明確に伝えることで、読者はこれから読む文章の方向性を理解しやすくなります。
(例) 「今回私が訪れたのは、九州の小さな港町でした。賑やかな観光地を巡るのではなく、ここでは『忘れられた風景』を求めて、カメラ片手に気ままに歩くことを目的としました。」
目的を最初に示すことで、その後のエピソード(古い漁具、寂れた路地、港に停まる船、出会ったおじいさんの話など)が、すべて目的達成に向けた描写として読者に伝わります。
2. エピソードの中に目的・テーマを織り交ぜる
旅の途中の具体的な出来事や描写の中に、目的やテーマに沿った視点や気づきを盛り込みます。
(例:テーマ「地元の人が愛するB級グルメを探す旅」の場合) 「ガイドブックには載っていない、地元のおじいさんが教えてくれた小さな食堂の暖簾をくぐりました。目的の『ホルモンうどん』は、鉄板の上でジュウジュウと音を立て、食欲をそそる香りが立ち込めていました。一口含むと、甘辛いタレがプリプリのホルモンによく絡み、どこか懐かしい味わいでした。まさに、地元の人に愛される理由が分かった瞬間でした。」
ここでは、「ガイドブックに載っていない」「地元のおじいさん」「小さな食堂」「地元の人に愛される理由」といった言葉が、テーマに沿った視点であることを読者に伝えています。音(ジュウジュウ)、香り、味覚(甘辛いタレ、味わい)、食感(プリプリ)といった五感描写も加えることで、情景がより鮮やかになります。
3. 結論で目的・テーマを振り返る
旅の終わりや記事のまとめで、最初に設定した目的やテーマがどうなったか、それを通して何を感じ、何を学んだかを振り返ります。
(例:目的「リフレッシュしたい」、テーマ「自然の中で五感を解放する旅」の場合) 「この旅で、私は無事に心と体をリフレッシュすることができました。都会の喧騒から離れ、波の音、森の緑、潮風の香りといった自然の中に身を置くことで、凝り固まっていた心がゆっくりと解きほぐされていくのを感じました。五感を研ぎ澄ませて旅をすることで、見慣れた日常の中にも、新しい発見があるのかもしれない。そんな大切な気づきを得られた旅でした。」
このように、旅の成果や気づきを目的・テーマと結びつけて書くことで、文章に深みが増し、読者も共感しやすくなります。
目的やテーマがない旅でも大丈夫
「特別な目的やテーマがない旅ばかりだけど…」と感じた方もいるかもしれません。それでも全く問題ありません。
目的やテーマは、必ずしも旅に出る前に明確に設定する必要はありません。旅の途中で「あ、これが面白そうだな」と感じたことや、旅を終えてから「そういえば、あの時感じた〇〇って、実はこの旅のテーマだったのかも」と気づくことの方が、むしろ自然かもしれません。
大切なのは、旅の大小に関わらず、あなたの心に引っかかったこと、興味を持ったこと、感じたことに意識を向けることです。それが、あなただけの「心に残る文章」を書くための出発点になります。
まずは、次回の旅で「一番楽しみにしていることは何かな?」と考えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。あるいは、過去の旅の写真を眺めながら、「なぜこの場所に行ったんだっけ?」「この時、何を考えていたんだっけ?」と問いかけてみましょう。
旅の目的やテーマを少し意識するだけで、きっとあなたの文章は、よりあなたらしく、そして読者の心に届くものに変わっていくはずです。